幼稚園の先生に魔法の消毒液を塗ってもらいました
私が幼稚園の頃の話です。当時のお世話になった保育士の先生のことはよく覚えています。まだ二十代半ばと若く、新人の先生だったのですが、とても明るくユーモアセンスのある方で園児に慕われていました。私も例外に漏れず、先生にとても懐いていました。ある日、友達とかけっこ中に転んで膝を擦り剝いた私は先生に手当てをしてもらいました。膝が痛くて泣き止まないでいると、先生は「いたいのとんでけ」をしてくれました。それでもまだ泣いていたのは、「消毒液はとてもしみるぞ」と、男の子に脅かされたからです。すると先生は「ちょっと待ってて」と消毒液を持って行ってしまいました。しばらくして戻ってくると、消毒液のラベルには折り紙を切り抜いた星が貼られていました。「これは魔法の消毒液なの、塗ると夜にいい夢が見れるんだよ」「本当?」私は先生の言葉を信じ、しみるのを我慢しました。まわりの子たちも興味を覚えたのか、僕も私もと怪我をしてないのに並んで、それぞれ肘だの額だの好きな箇所に塗ってもらっていました。皆が先生を中心にワイワイしているので、私は膝の痛みも忘れて笑顔になりました。とても楽しい思い出です。その日見た夢は忘れてしまいましたが、しみるのを嫌がるうちの子供にも、折り紙の星を貼り付けた魔法の消毒液は特効薬になってくれています。