保育士の業務内容を構成する数多くの要素の中で、他のすべてに優先される、最も基盤的かつ重大な責務。それが、子どもたちの「命を守る」ための、徹底した安全管理と衛生管理である。どれほど素晴らしい教育活動を計画し、子どもたちの豊かな心を育んだとしても、その前提となる安全が確保されていなければ、全ては砂上の楼閣に過ぎない。この重責を日々担うことこそが、保育士という職業の本質であり、その専門性の核心と言える。子育て両立◎大和高田保育士安全管理の業務は、事故が起きてから対応する「事後処理」ではなく、事故を未然に防ぐ「予防」にその重点が置かれる。保育士の一日は、子どもたちが登園する前の環境設定から始まるが、それは同時に、徹底した安全点検の時間でもある。園庭の遊具に緩みや破損はないか、保育室の棚から物が落ちてくる危険はないか、床に子どもの指を挟むような箇所はないか。保育士は、常に子どもの視点に立ち、あらゆる潜在的な危険を予測し、排除する。おもちゃの管理も同様だ。小さな部品が取れかかっていないか、破損して鋭利な部分ができていないかを日々点検し、対象年齢に合わないおもちゃが紛れ込んでいないかを確認する。また、火災や地震、不審者の侵入といった非常事態を想定した避難訓練の計画と実施も、保育士の重要な業務だ。子どもたちがパニックに陥らないよう、日頃から「おはしも(押さない・走らない・喋らない・戻らない)」の約束を伝え、迅速かつ安全に避難できるよう、具体的な誘導方法を繰り返し訓練する。この訓練の積み重ねが、万が一の事態において、子どもたちの命を救うことに直結する。衛生管理もまた、子どもの健康を守る上で不可欠な業務である。特に、抵抗力の弱い乳幼児が集団で生活する保育園では、感染症の予防が最重要課題となる。保育士は、正しい手洗いやうがいの方法を、子どもたちに根気強く指導し、習慣化させる。施設やおもちゃの定期的な消毒作業も、感染症の蔓延を防ぐための地道だが重要な業務だ。登園時には、一人ひとりの子どもの健康状態を注意深く観察し、少しでも異常が見られれば、速やかに保護者に連絡し、必要に応じて医療機関の受診を促す。そして、近年の衛生管理において、極めて高い専門性が求められるのが「食物アレルギーへの対応」である。これは、一歩間違えれば、子どもの命に関わる重大な業務だ。保護者からの情報を基に、アレルギーを持つ子ども一人ひとりについて、原因となる食物、症状、緊急時の対応などを詳細にまとめた個別計画を作成し、全職員で完璧に共有する。給食やおやつの時間には、調理段階から配膳、食事、後片付けに至るまで、アレルゲンが絶対に混入しないよう、食器の色を変えたり、席を離したりと、厳重な管理体制が敷かれる。複数の職員による二重、三重のチェックは、もはや保育現場の常識だ。保育士の業務とは、子どもたちの命と健康という、何物にも代えがたいものを、その両肩で預かることである。その使命感と、日々の緊張感の中で培われる注意力、そして専門知識。それら全てが、子どもたちの笑顔と、健やかな成長を守るための、見えないけれど最も重要な業務内容なのである。
命を預かる使命、保育士の安全・衛生管理という最重要業務