これでもう迷わない!保育園の違いがよくわかる図

2025年5月
  • 保育現場の葛藤、みなし保育士と共に働くということ

    保育園

    「正直、最初は不安しかありませんでした」。都内の認可保育園で主任を務めるAさんは、初めてみなし保育士の職員を迎えた時の心境をそう語る。彼女の園では、深刻な保育士不足から、数年前に幼稚園教諭の免許を持つ女性をみなし保育士として採用した。保育士希望者へ大和高田採用保育士資格を持たない職員が、子どもたちの命を預かるクラス担任の一翼を担う。そのことに、長年保育の専門性を追求してきたAさんは、強い抵抗感を覚えたという。「子どもの発達に関する知識や、アレルギー対応、感染症対策など、保育士なら当然知っているべきことが、彼女には通じない。一つひとつ説明し、指導するのは本当に骨が折れました」。特に苦労したのは、保護者対応だった。子どもの発達に関する悩みや、家庭でのしつけに関する相談を受けた際、みなし保育士の職員は専門的な知見に基づいたアドバイスができず、Aさんが代わりに対応せざるを得ない場面が何度もあった。「保護者の方は、私たちを『保育のプロ』として信頼して相談してくださる。その信頼を裏切るわけにはいきません」。しかし、共に働く中で、Aさんの考えは少しずつ変化していった。そのみなし保育士の女性は、保育の専門知識こそ乏しいものの、子ども一人ひとりに対する愛情が深く、非常に熱心だった。正規の保育士たちから謙虚に学び、週末には自主的に保育関連の研修に参加するなど、足りない知識を補おうとする努力を惜しまなかった。何よりも、彼女が持つ幼稚園教諭としての経験は、保育園の活動に新しい風を吹き込んだ。歌や楽器演奏、絵画制作といった表現活動の指導力は、保育士だけの園にはなかったものであり、子どもたちの表現力を豊かに引き出すきっかけとなった。「保育園と幼稚園は、管轄も違えば文化も違う。でも、子どもを思う気持ちは同じ。彼女の存在が、私たち正規の保育士にとっても、自分たちの保育を見つめ直す良い刺激になったのは事実です」。現在、その女性は働きながら保育士試験の勉強を続け、資格取得を目指している。一方で、別の保育園で働くBさんは、みなし保育士制度の負の側面を強く感じている。Bさんの園では、コスト削減を目的として、退職した正規保育士の補充をみなし保育士で賄うケースが続いているという。「経営側は、人件費を抑えられることしか考えていない。結果として、現場の負担は増える一方です」。正規保育士は、みなし保育士への指導や業務のフォローに追われ、本来の仕事である子どもとの関わりや保育の準備に十分な時間を割けなくなっている。職員会議では、専門用語が通じないみなし保育士に配慮して、議論のレベルを下げざるを得ないこともあるという。「保育の質を維持するために、私たちが何倍も頑張らなければならない。でも、その頑張りは給与には反映されない。やりがいだけでは、もう限界です」。みなし保育士制度は、現場の保育士たちの善意と努力という、あまりにも脆い土台の上に成り立っているのかもしれない。制度の是非を議論するだけでなく、現場で働く一人ひとりの声に耳を傾け、保育の質と職員の労働環境をいかに守っていくか。その具体的な方策を講じることが、今、強く求められている。